読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

TXの「ガイヤの夜明け」でなぜか株式会社ライフクリエイションズだけ晒された件について

こんにちは。上からさんです。

先日、TX系列番組「ガイヤの夜明け」でブラック企業と特集なるものが放送される、というので見てみた。2社紹介されており、前者は会社は特定出来ないが警備員の派遣会社。後者は表題の通り、株式会社ライフクリエイションズ。会社名は出なかったが、ホームページを晒しており、訴えている労働者との和解が出来た警備会社と徹底抗戦を表明した後者との扱いの差なのかもしれない。

ただ、残念なのは、このライフクリエイションズのような会社は山ほどあり、なぜそうなるか、の仕組みを説明しなかったことだ。それを説明しないと、この会社だけが今後もネットで叩かれて終わってしまう。なので、ここで説明する。

人が儲けようと思って起業を考えるとITか人材派遣がまず浮かぶ。それだけ人材派遣は儲かるのだ。古本と同じ。安く買って高く売る。一般的に派遣と聞くと事務職等が思い浮かぶと思うが、実はこのソフトウェア系の方が簡単に儲けることが出来るのだ。

まずクライアント側。自社の大規模システム開発の場合、統括はそこの社員(そうでない場合も多い)がやったとして、各開発のオブジェクトに分けた時、開発後は運用フェーズに移るので、クビを切ることが出来ない正社員はいらない。なので期間限定の人手が欲しい。他者のシステムを開発する場合でも同じ。これは営業努力でクライアント側からお金をもらって開発するものなので、常時そういった開発があるわけではない。売上を伸ばすためには営業努力が必要であり、しかし、目標非達成のことを考えると、最大のコストである社員を多く抱える事はできない。そこで、開発人員を社外に頼む。

さあ、ここで問題なのは受け側。今回問題なのは、受け側が自社内で開発するようなソフト系開発会社ではない。クライアントに自社人材を常駐させるタイプだ。派遣するわけだから、受け側も派遣を雇って、その人をクライアント時に常駐させればいいとおもいきや、これは二重派遣になり、法律違反。なので、自社の社員を派遣する形になる。

このプログラマー、SEを派遣する商売は実はかなりおいしい。というのも、会社経営のおいて、一番のコストは人件費。かつてアップルにスティーブ・ジョブズが復帰した際、業務集中よりも2000人をクビにしたことが短期黒字を達成した要因。普通の会社は、売上を伸ばすために、現状以上の事を考えようとする。そうすると短略的に新規事業、という話になり、人を雇う。失敗するとコストだけが上積みされて大変なことになる。しかし、この派遣スタイルはクライアントに確実に派遣するので、その人材のコストは必ずクライントからの支払いで埋めることが出来、なおかつ売上も利益確保も出来るのだ。派遣先の業務が終了しても、すぐに他の会社に飛ばされるので派遣元は営業にだけ集中していればいい。その営業も、基本それなりの開発なので、突然終了、ということはなく、事前にわかるので、営業マンも最小人数で回せるのだ。

さて、派遣元にとって一番大事なのは、派遣をする社員を費用を安くすればするほど利益が上がる、ということだ。そしておいしいことに、一番給料を安く設定出来る、新卒、第二新卒を雇うことで国から助成金をもらうことが出来るので、この助成金枠いっぱいに派遣前提若手を採用した方がお得なのだ。助成金は新卒3以内、という基準もあったりするので、一度失敗し、「社員」という名前、また、未経験もOKというふれこみに惹かれてしまうのだ。

もちろん、適正があるのでだれでも採用されるわけでもない。もし採用されても素人がいきなりプログラマー、SEになれるわけがない。ではどうするのか。ひと通りの研修をするのだが、この研修を安く請け負う会社に委託することもあれば、自社でやる場合もある。この研修期間の取り扱いが今回の番組でも問題になっていたが、この業態だが、大手の下請け会社などはしっかりと正規の金額を払い、研修も専門の設備で行えるほどのコストをかけるのだが、前述のような中小規模の会社は孫請け、ひ孫受け、またの下請け、と最初の発注もとから差から登るとかなり階層が下になるので、その分、中間マージンを抜かれて元々の利益が低くなるため、なるべく派遣元からの支払いが発生しない期間はコストを使いたくない。なので労働契約を結ばずに研修だけ受けさせて賃金を払わなかったり、その期間はアルバイト、という扱いにしてコストを浮かしたり、中には小さな会社などは一人や二人であれば「遊びにきなよ」と自社内の開発を見せるふりして無償で手伝わせて晩御飯で済ますような会社もある。

そして短い最低限の研修が終わったら、同じ自社の先輩がいる現場に派遣してOJT方式で教えるのである。この時、派遣先からの請求は見習い金額で請求することが多い。もちろん、これは悪くて実コストと同額、利益を出すのがポイント。もちろん、派遣先選びも重要。自社の社員が長く常駐していて、あなたの会社はいらないが、この子がいないと困る、という状況が最高。そういった所は暗黙の了解で新人を受け入れることも多い。

こうして、自分が所属している会社にはほとんど出社したことがない社員が生まれる。中には中小の所属会社よりも、派遣先の大企業の方が設備が充実しているから自社には戻りたくない、という子もいる。しかし、ほとんどの人達は派遣先で直接雇用されることはない。そんな中、派遣されている社員は、ほとんど行ったことのない自社よりもいつもいる派遣先の方に情が移るわけだが、派遣先に受け入れられることもなく、それでもずっと長くいると、むしろ派遣先の新入社員のOJTを行うこともあり、それでもその子が自分の上司になったりするわけで、徐々に自分がどこにも所属していない、という孤独感を感じる人もいる。また、数年同じ現場でリーダー格になっても所詮派遣。派遣元からの支払いを上回る金額を社員として支給されることはないので、給料の頭打ちがくる。例えば、派遣元には時給2000円で請求している場合。月額40万の売上となると、粗利目標の設定にもよるが、諸経費を考えると社員への支払いは額面32万が限界に近いと思う。ここから税金もろもろ引かれるので、扶養者がいる人でスキルがある人はこの給料面で辞めていく人もいる。

 

これがこういった業界の実態である。ライフクリエイションズだけの問題ではないのだ。

助成金という効果がかなり不明瞭な予算。多重請負が当たり前のソフトウェア業界。日本の国内で儲ける上の階層の人達が作り上げた吸い上げシステムのとばっちりを現在の若手を負ってしまっている、といってもいいかもしれない。

ブラック企業ではなく、日本自体がブラック国、と最近は感じざる負えない。