底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

真面目に生きてる人は得しない

昨日のAKBSHOW!で高橋みなみが言った事だ。それでも、というのがあって、あの名言「努力は必ず報われる」と言った、とのこと。

 

私はAKSを書類で落とされた事は前に書いた。その理由的にも自己分析は終わっていて、今AKSに必要な人材、という内容も書かせてもらった。この、高橋みなみ北原里英の対談を見て、私がAKSの入社志望の理由を思い出した。それは紹介会社の営業マンに熱く語り、「私を採用しても絶対損はない!」と訴えた内容。それを今回はご紹介したい。

 

私はITでも芸能等のエンタメ系も扱う事が多かったので、常に芸能界の流れはチェックしていた。なので、AKBは秋葉原48として発足当時からチェックしていた。当時はブスばっかりだと言われ、その後テレビに出るようになってもブス軍団と言われていた。特に前田敦子に対する誹謗中傷は凄まじく、未成年に対して、大人がそこまで言えるものか、と愕然としたものだ。秋元康はそんな彼女たちを鼓舞するような歌詞を書く。スポ根漫画のように、地下アイドルだけどいつかは東京ドームでコンサート、という夢を追い続けて努力する少女。その心情を表すかのような歌。それが見事にマッチしたのが「RIVER」だった。ここで一気にファンが増えた。つまり、AKBとは、努力をする少女達を自己投影して応援する、現実社会では報われない人達(ヲタ)と、それに報いようとし、また、自分の夢を追い、さらに努力してパフォーマンスをするAKBメンバーという図式が出来上がったのだ。そして、国民的アイドルになる。ここからAKBは変わる。

ブス軍団と罵られ、あくどいAKB商法と言われていた頃のAKBに誰が入りたいだろうか。もちろん、順調にメンバーを増やしていたが、それは元々AKBという世界に魅せられた子が多い。しかし、メジャーアイドルになった。そうなると、何が起きるか。大金が動くし、そこにはしがらみも生まれる。そうなると、すべて真面目にメンバー選考なんてやっていられるわけがない。いわゆるコネや口利き(大手スポンサー等)でメンバーになる子も増えてくる。そして大人の事情(金、権力)で選抜も変わってくる。その昔、横山由依が正規メンバーに昇格した時、先輩達誰もが、横山由依を褒め称えた。それは裏での努力がすごい、という内容だった。その努力が報われての正規メンバー昇格だったのだ。では、今はどうだろう。総選挙でさえ、すべてガチだと思っている人はよもやいないとは思うが、それでも上位メンバーはやはり昔から地道な努力をして固定ファンがいる、と思われるが、そこから下はどうだろうか。これだけの巨額の金が動くイベントだ。その金の動きに翻弄されるメンバーはやはり中堅という事になりがちだ。

 

ここ近年のシングル楽曲の詞自体も変わった。世間に対して反逆というか、努力や根性、少女の純真さや無邪気、そして狂気。そうしたモノよりも響き重視の意味の無い歌詞が続いた。しかし、昨年の指原莉乃選抜総選挙で1位になった時の歌、恋するフォーチュンクッキーは違った。色々あってHKTに移籍することになった指原莉乃はHKTメンバーを成長させ、本人も未だかつて無い、化け物アイドルとなった。それは彼女の努力によるモノであることは疑いようもない。もちろん、運もあるだろう。そんな彼女を表すにはぴったりの歌詞はとても印象的だった。

「未来はそんな悪くないよ」

一般的には挫折と見られる出来事でも努力次第で、ここまで巨大化したAKBGの頂点に立つ事が出来た、という聞いていてこちらもハッピーなるような、指原莉乃の紆余曲折を反映した曲だった。ただ、それはそれ。努力は報われる、というAKBGのメンバーピラミッドは崩壊の一途だ。

メンバーピラミッドの崩壊はKSGK(クソガキ)という層も作った。先輩を敬愛する裏エピソードの多い島崎遥香等とは違い、この層は20歳と越えたメンバーを「おばさん」呼ばわりすることを厭わない。もちろん、本気でバカにしているわけではないと思うが、HKTメンバーが指原莉乃に対する年上気遣いと、このKSGKと呼ばれるメンバー層の先輩に対する態度は明らかに違いがある。これは先輩達に憧れ、努力をし、そして報われる、という世界がAKBメンバー内で無くなった、という認識だ。色々な大人の事情で、入ったばっかりでも大抜擢、その後のメジャーな仕事が回ってくる、なんていう事もザラ。超選抜、選抜、それを支える中堅、というヒエラルキーの中で努力と成長を続けてきたメンバーからすると、今のAKBGはかなり辛い世界だと思う。

 

長くなったが、私の志望理由としては、そんな中だからこそ、AKBGの根幹となるアイドルとしてのあり方を今一度作り上げたい、という事だった。このまま金の力で使い捨てのようにされるメンバーが増えるのはそれを手がけている運営社員からすれば大金を動かせて自分の実績となるが、商品は命のある少女である。私はせっかく長い年月で作り上げられたこの少女達の努力を、ガシガシ金で利用しまくる、という事は結局、メンバーも今回の高橋みなみ北原里英の対談のように精神的に疲弊するし、金の卵の寿命が短くなる結果になるのでは?と思ったのだ。AKBGの幸いな事は、秋元康がクリエイティブに特化していることだ。すでに大金持ちなので金儲けに必死にならない。それが一部のメンバーとの信頼関係になっているのだろう。しかし、大所帯の運営にはやはり大金が必要。そうなると先日書いたように、金を持ってこれる社員が必要、ということになる。私の志望動機などは現実のAKBGの問題からすると高橋みなみ北原里英の涙レベルの話であって、AKS的はまず金、金、金。この太りに太った組織にはそれだけの金というエネルギーが必要なのだ。

 

世の中理不尽なものである。とよく言われるが、それを大人が認めるから理不尽なのだと私は思う。もちろん、理不尽ではない世界が存在しないことぐらいはわかっている。それでも、理不尽を減らす事は出来るかもしれない。大人達が理不尽を認めなければ。

 

真面目に生きている人は得しない。でも、努力は必ず報われる、って信じたい。そんな思いを少女にさせてしまうビジネス環境を改善したい。そんな思いで志望したんだなぁ、と懐かしく思い出したし、やはり私の志望動機としては間違っていなかった。