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底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

実質GDPが-1.9%と下方修正だった

テレビでコメント、解説をしている多くのエコノミストと言われる人達はこの数字が発表になる前には、「速報値から上方修正される、もしかしたら+になるかも?」ぐらい言っていた。しかし、現実が突きつけられた形となった。この下方修正は速報値で入っていなかった中小企業の設備投資が伸びていない事と、無理やりGDPを伸ばそうとして予算を組み、詰め込んだ公共事業がキャパオーバーした結果だ。こうなる事は私でもわかっていたことなので、多くのエコノミストはもちろん、わかっていたと思う。しかし、選挙前。嘘をついてアベノミクスが上手くいっている、という演出に加担した、というわけだ。というのも、テレビで発言する多くのエコノミストと言われる人達は研究所、証券会社の人が多い。つまり、アベノミクスによる株高で儲かっている人達であり、自民党に加担するのは当たり前なのだから。

そもそも、今までは悪のデフレだったのか?

デフレとは色々な定義があり、なんとも言えないが、私が大学時代に経済学で学んだ事は国内で起きるデフレであり、それは需給バランスが崩れる事で起きる、という事。需要が減るので企業は値段を下げる。そのため、企業は利益を出すために社員の給料を上げない。賃金が下げ止まりする。需要が更に減ると値段だけでなく、供給量も減らさないとならない。企業はコストカットに走り、従業員を減らす。そして失業者が増える。これが所謂デフレ・スパイラルで、悪いデフレ、と言われている。需要が無いので企業は設備投資をしな。なので、銀行は金利を下げ、企業に積極的に投資をして貰おうとする。投資家は円も持っていても価値が下がるので、円を別の商品へと放出する。円安となる。

では、アベノミクス前の日本はどうだったか。まず、円高だった。当時のアメリカ経済の先行きやユーロ安等の影響もあるが、それでも円の安定を評価されていた部分もあった。で、需給バランスはどうか。安い象徴の第3のビールが生まれたが、同時に値段の高いプレミアムビールも売れた。ユニクロも安価なGUを展開し、本体の値段は徐々に上げた。ITは人手不足で大卒初任給で年収1000万を売りにする企業も現れた。反面、すき家のような深夜ワンオペや、トラック運転手やバス運転手を厳しい環境で使う人件費削減企業も出現した。

アベノミクス前までの日本経済は構造改革の途中だったのだ

 毎日安いビールを飲むが、週末には高いビールを飲む人にとって、安いビールは実は対してコスト削減になっていない。週末に羽目を外すからだ。そういう人にとって、普段のビールは安くて十分だったのだ。車は普通車でなく、維持費が安い軽自動車。その人は乗用車は軽で十分だったのだ。今までテレビ等のマスメディアがイメージ付けてきた消費イメージから、消費者主導で需要が変わったのだ。ユニクロの高価格路線は結果を出している。それは、それでもその品質だと他のブランドよりも安く、コスパがいい、と消費者が認めたからだ。マクドナルドの高価格路線は失敗している。それは、消費者がその金額に見合うと認めていないからだ。

アベノミクス前までの円高を背景にしたグローバル化によるオフショアでの開発の堅調、それによる国内生産性の低下は消費者に選択眼を身につけさせ、企業は売れるモノを作らなくてはならなくなったのだ。消費者に押し付ければよかった時代から、消費者が欲しいモノを提供する時代への変革だ。今までのような楽な商売は出来ない。

飲食店の例を出すと、「今はデフレだから、安ければ客は来るだろう」と統一低価格料金の居酒屋が乱立した時期があった。しかし、減少の一途をたどっている。理由をマスコミは「景気が悪くて家呑み派が増加している」としている。しかし、「俺の・・・」シリーズの店は総合的にはたいして安くないのに、未だ行列している。これは需要側の気持を供給側が掴んだからだ。つまり、消費者の財布の紐のせいにして消費が伸びない、という会社は単に経営者が無能なだけであり、日本経済のせいではなかったのだ。

既存のモデルが淘汰されるまであと少しだった

 私が外資にいた時、外国人が「日本は楽。マーケティングが無いから」と言っていた。確かに、諸外国と違って日本は東京を中心に考えれば良かった。テレビでイメージを叩きつければそれで売れた。最初にその構造を壊したのファーストリテイリングだった。それまで、日本でアパレルが消費者に届くまで、最低6階層の不必要な卸を通さないと売れなかった。なので、値段が高かったモノを、ユニクロは工場も自社で直販する事で適正価格で消費者に販売した。それから十年以上たって、同じような来形態のH&Mが日本に来た。彼ら日本に出店する際に、「ファストファッションが売れる土壌が出来た」と言っていた。確かに、価格競争の末、サービス合戦にも入り、B to Bでは統一料金だが、サービスは向上しているようなビジネスも生まれた。そのとばっちりが低賃金労働者を生んだ。しかし、仕事があるのだ。失業者ではない。そのワーキングプアの庶民が更に増えると需要が減るわけで、供給側は考えなくてはならなくなる。ワーキングプアはどの国にも一定層存在するわけで、それは同一賃金同一労働的に見ても仕方が無い部分でもあるのだ。

「安ければ客が来る」「高くても、高付加価値があれば売れる」という、無能な経営陣が淘汰され、戦後支配され続けた庶民主導の実体経済が生まれつつあったのだ。それに待ったをかけて昔からの支配階級が市場を牛耳る社会にしたいのが自民党だ。

デフレ政策とリフレ政策が同時なのがアベノミクス

 デフレ政策は金持ちを優遇するより、庶民の失業率を増大による経済ダメージを修正し、実体経済を回復させなければならない。逆にリフレ政策は金持ちを優遇し、大企業、富裕層、超富裕層が経済を引っ張る事によって経済が回復する、という事。これらが同時に行われる事はあり得ないのだ。実体経済でのデフレ対策は需要の喚起により、企業が儲かり、失業者が減り、更に需要増となり、企業が儲かる事。この需要を喚起させる対策が重要な事で、企業や金融対策含め、複雑な戦術となる。しかし、アベノミクスによって、庶民経済は大ダメージを受けつつある。需要増により物価が伸びるのがデフレ対策のはずなのに、急激な円安により物価上昇で需要減となってしまっている。これでは中小企業はコストをどこかに転嫁しなくてはならなく、一番手っ取り早く人件費を削減する企業も出てくるだろう。もちろん、自民党はそんな事わかっているわけで、地域限定社員や派遣法改正等の安く使える人材採用への法改正を進める。そうすれば、ワーキングプアは増えても数字上新規採用が増えた、という事になり、そういった底辺層を知らない既存の東京中心の庶民はまた自民を応援するのだ。アベノミクス前の適正価格で淘汰される実体経済が続けば、ファーストリテイリングのような構造改革があらゆる所におよび、ついには日本最大の既得権益、土地にまで及んだ時、「あれ?東京である意味無くね?」となって日本全体が活性化するチャンスかもしれなかったのだ。

 

選挙では多くの庶民は自分の票には意味が無い、と思って投票もしない。そのお陰で支配階級は支配出来る。しかし、資本主義は金が力を持つ。選挙に行かない庶民の消費力、選択力によって既得権益者達が作り上げた社会構造を多少なりとも変える力があるのだ。それもアベノミクスで終わり。庶民の力は削がれ、また支配される時代が来る。なかなか資本主義に日本は移行出来ない。