底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

底辺から脱出出来ない日本のシステムを知った

私もなんとか底辺から脱出したいわけですよ。なので大学生以来のバイトから始めてみたわけです。

 

びっくりしました。月に88,000円以上稼ぐ事が3ヶ月続いたら社会保険に強制的に入らないとならない、と法改正されていたんですね。仮に東京都の生活保護での住宅補助費上限は53,700円。これを最低と考えると

家賃:53,700円

水道光熱費:1万円

携帯(格安SIM等):3,000円

食費:1万円(最低で)

合計76,700円

社会保険14%:12,320円

介護保険料:約6,100円

差し引き:96,020円

ここに住民税が住んでいる場所によってかかってくる・・・。

 

あれ?頑張ってバイトしてもマイナスになるじゃん。こう書くと、「もっと働いて稼げや」という共感能力も想像力も無い、視野の狭い人がいるので言っておくが、40歳を過ぎて月に88000円しかアルバイトで稼げない人はそれ以上稼ぐ事が出来ない、つまり必然的にそういった生活になっている事も多いのだ。

※数年うつ病で離職していた、専業主夫(婦)で離婚をして始めての就業など。珍しい事ではない

40歳を過ぎたらバイトなんてほぼ肉体労働しか無い。そうなるとバイト数を増やして稼ぐのは肉体的にも精神的にもかなりキツイ。バイトの枠数を増やすか自分の単価を上げるか。そういった選択肢やその他色々ビジネス経験があれば考える事も出来るか、多くはバイトの数を増やす、という選択になる。しかし、中年では体力がそれなりに無いと厳しい。そうなるとまず貧困から脱出する事は出来ない。

 

この数値は都が決めている最低の生活の基準として数値をいれているわけで、自分で稼いでいるのに娯楽を何もしない、食べたいモノも生命維持の為しか食べない、という生活を人間が出来るわけがない。貯金どころか家賃の更新料も住民税も払えないような生活(基本収支マイナスになる)を強いる制度が出来た背景には最下層の人間達の事を考えない、考える事が出来ない人達が制度を作っているからだろう。88,000円しか稼げない人は家賃38,000円ぐらいの風呂なしに住めばいい、という事だとしても、肉体労働者が30日通ったら家賃にプラスして5万円くらいになる。つまり、8000円ほどしか浮かない。やはり人間的生活ができる数字ではない。なぜこんな事になったのだろう。

 

私はセーフティーネットとしてのアルバイトの雇用保険を否定する気はない。ただ、アルバイトは短期雇用が基本となる事が多い為、失業保険支給条件である、加入期間12ヶ月というのはあまりにも酷だ。なんの為にアルバイトという自由のきく雇用を選んでいるか、という事になってしまう。例えば夏だけ3ヶ月海外で働く、という事をした場合、雇用保険は切れてしまうのだ。つまり、掛け捨て。他人の為に払っているのと同じだ。これではアルバイトのセーフティーネットの役割を果たさない。3ヶ月以上8万8千円で加入であれば、同じく非正規雇用者は3ヶ月以上払えば失業手当を出してもしかるべきだ。正社員とは違うのだから。そうでないと立場も雇用も不安定なアルバイトのセーフティーネットになりえない。

 

取れる所から取る。その理屈もわかる。高給のサラリーマンなど、働いている理由がわからなくなる程の税金を取られるから、この件に関して他人の事など考えていられなくなる程の理不尽さを感じていると思う。しかし、世界の優秀な学者達の調査でもわかる通り、貧困は連鎖していき、決して本人の責任だけではない。逆に本人の責任だとしても、なんとか這い上がろうと狭い知識ながら頑張ろうとしている人達を完全に意味の無い搾取で強制徴収して手取りを減らし、ギリギリの生活しかさせない日本社会の怖さ。

 

この国が介護保険が始まる40歳以上の雇用が不利にならないような、年齢制限の無い国なのであればまだ少しわかる。底辺から這い上がるチャンスが色々あるわけだから。しかし、国の機関である自衛隊や警察でさえも年齢制限がある国だ。42歳でも武井壮ほどの体力があれば30歳の不摂生な隊員よりも動けるはずだ。そうした個人の最低限の部分でさえも「年齢」というハードルで切ってしまうのがここ日本だ。つまり、なんらかのやんごとなき理由で月88000円のアルバイト生活しか出来ないような中年はもはや働くのではなく、生活保護に頼った方がいい、というよりは、そうじゃないと独りで生活は出来ないシステムになってしまったのだ。しかし、生活保護は申請した所で簡単には受け入れてもらえない。その先はホームレスか死しかないのではないだろうか。もしくはずっと肉体を酷使する労働を増やしてギリギリ生活を続けるか。

 

酷い。あまりにも酷いシステムだ。これでは中年は一度道を踏み外して底辺に陥ると余程の事がないと二度とまともな生活が出来なくなる。

 

まあ、税金の徴収システムとは名目上は国民の為、となっているが一番巨大な利権なので、発言力も社会への影響力も無いこういった底辺層への搾取は一般的生活が遅れている国民の見えない、気付かない所で行われているわけで、人間が作った社会システムである以上仕方のない部分なのかもしれないが。

 

それにしても、だ。まるで年貢を収める奴隷制度と同じだ。お米が取れない時(体を壊す、飢饉等)でも年貢額は下がるが収めなくてはならなく、働けど村人はジリ貧で労働するだけの生活。現代でもなんら変わらない社会のピラミッド構造。

 

これが人間という生物なのね。なんか悲しい。