底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

一般的な日本人には理解出来ない、映画「グリーンブック」の問題

映画「グリーンブック」がアメリカのアカデミー賞で作品賞を受賞して、これを問題視している声が本国で起きている。「史上最悪のオスカーだ」という声もあるぐらい。でも、こういった声がなぜおこるか?という事を多分多くの日本人は理解出来ないんじゃないだろうか?ネットでライターとして金稼いでいる人の文章でもただ、「根深いアメリカの人種問題」ぐらいの浅っさい内容だったりする。

問題は大きくは2つ。一つは白人側にいい影響を及ぼす、教養、性格、マナーも完璧な黒人の存在。もう一つは黒人を救うのは白人という問題。

いやいや、お互い友情が芽生えた、とか、いい影響をお互い与えあったんだからいいじゃないか、とか。多分、こう評価する人が多いのではないだろうか。これ、大前提としての大きな問題があるのよね。それは、

・黒人にもこれだけ素晴らしい人がいるのだから、相互理解をする事が必要

・受け入れる側もいい影響があるので、積極的に受け入れよう

この2つ。前者はつまり、

・一定の目線(教養、才能等)をクリアしていない黒人は駄目

・受け入れてあげる、であり、自分たちが相手に染まる気はない、自分たちの方が優位(上位)であるという意識

という差別、選民思想が浮き彫りになっているからだ。

 

この差別、選民思想は日本社会の根本的な思想だからいまいちピントこない人が多いのでは、というのが私の考えだ。例をあげると

・年齢差別・・・年齢だけで人を見下すのは黒人というだけで全否定されるのと同じだ。しかし、同じ中年でも「元有名会社の重役」というだけでコロッと態度が変わるのもまさに人間よりも一定の目線でしか人を判断しない所

・職業差別・・・ホワイトカラー(会社員系)とブルーワーカー(プロレタリア)を同じ人間とは見ていない。今年の10連休などそのいい例だろう。時給で稼ぐ多くの労働者は手取りが減ってしまう。そいう社会的弱者の事は考えない思想が政府とそれを支える国民には当然としてある

外国人労働者の受け入れ緩和・・・低賃金の奴隷(日本人がやりたがらない労働)としか考えていない。人口増よりも既得権益を守る事を優先した結果なのに、まだ自分達が優位な立場で外国人を「受け入れてやる」という意識でしかない。それに気付いていない無知な人達は必死でグローバル企業を抱えている中国韓国を叩くのに必死だったりする。

 

キリがない。もう、社会全般の根底にこの差別、選民思想があるからだ。だから#metoo運動なんかうまくいくわけがない。個人が声を上げる事が出来る社会の土台が無いからだ。白人、黒人という区分けと同じ。日本人社会は基本、人を個人として見ない。だから平気で年齢や性別で差別出来るのだ。そこに個人が声を上げると、映画のように完璧な黒人でないと駄目か、と思いきや、日本ではそれも許されない。完璧だと今度は「自分たちと違う」とその完璧さを叩くからだ。#metoo運動が日本でうまくいかないのは、セクハラされる人=美人、セクシーな人で、更に声を上げられる人は性格的に強い女性、という見方があり、セクハラ問題よりもそこを叩くからだ。こんな社会の日本で「グリーンブック」の問題など気付くはずもない。

 

日本はこういった所では本当に後進国だ。びっくりするほどだ。

ただ、その歪がもう限界に来ているのも事実。各方面の現場のプロレタリア層が声を上げつつある。SNSのおかげだ。日本の為政者達は最大公約数的な幸福を与えていればよかったのだが、既得権益層は変わらずだが、庶民が高齢者ばかりになってしまった結果かもしれない。今、声を上げれば本来政府を倒せるぐらいの票数は集まりそうなのだが。

いかんせん、対抗馬(野党)さえも、既得権益層で今の地位が美味しい、という人達だからどうしようも無い。

どうしたもんかねぇ・・・。