底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

大事な事だからもう一度。アベノミクスのトリクルダウン理論その2

トリクルダウン理論が金持ちを優遇する事で下層がそのおこぼれでベースアップする思想の事であり、これがアベノミクスが目指す経済効果である事は以前紹介した。そうはいっても庶民、下層の人達にはどういった事で、どういう社会になってしまうか、が想像出来ないのかもしれない。それが今回自民の圧勝ムードを醸し出しているのだと思う。なので、今日はアベノミクスによってどういう社会になるか、を一番わかりやすく紹介したい。

アベノミクスをこのまま推進すると日本社会は今の中国、韓国のようになる

10数年前、中国は国家戦略として国の経済を押し上げる、数十年に渡る計画を打ち出した。こういった長期戦略を打ち出せるのは一党独裁体制だからこそ。そして計画通り、中国は経済大国になり、多くの富裕層が生まれた。では、中国の多くの庶民の生活は良くなっただろうか。確かに、中流層は生まれた。しかし、それ以上に貧富の差は拡大し、民族戦争まで起こるようになった。そして、権力層は変化しないので、富裕層、権力層からのおこぼれ最大化を多くの庶民は考え、学力社会は過激になった。そんな中、そういった国内事情に気づく若者は国外へ活路を見出し、成果を上げている者も増えている。

韓国は国が一度経済破綻をした。そして10大財閥のみ優遇する事で、国の財政健全化を測った。そして国は国際競争力を取り戻し、財閥系企業は世界を席巻する企業となった(そんな企業も未来予測を見誤れば失敗する事もあるが、それはまた別で)。しかし、国内産業、庶民はどうだろうか。貧富の格差は拡大し、経済反映の象徴であるカンナム地帯にあるスラム街はそんな韓国の象徴だろう。多くの庶民は国内ではおこぼれ最大化を狙い、学力競争が激化。ドロップアウトした者や、国内市場に興味のない優秀な若者は海外へ活路を見出し、成果を上げている者も多い。

 

この2国の歴史と現状。まさにアベノミクスがこれからの未来予想図だ。

なぜ日本は中国、韓国と同じで、レーガノミックによるアメリカとは違うのか

 アメリカはいいも悪いも、資本主義社会だ。その表向きの判断基準は金による自由社会。そのため、産業の規制が少なく、金で解決出来る事が多い。それは金による社会柔軟性と自由を求める人々によって都合がよく、自浄作用が働きやすい。対して、中国。一党独裁体制でメディアに対しての規制は日本とは比較にならないほど厳しいが、戦後ほぼ自民党一党独裁体制でメディアをコントロールしている点ではさほど日本とは変わらない。もちろん、日本は中国と違って党を変える権利が国民にはあるが、国民は洗脳されているのと同じなので、そんな事はほぼ起きない。ここがアメリカと圧倒的に違う。日本ではダメなら別で試す、そしてダメならまた別で、というトライ・アンド・エラーをする文化が無いばかりか、他人の人生の失敗さえも許さない社会思想が根強いのに、なぜか自民党の事は許す。それは思想コントロールだけの問題ではなく、庶民が既得権益化された権威に弱い、という支配される事に慣れている事による。ここは韓国も同じ。日本と韓国は国の成り立ちとしてかなり類似している。それはアメリカの支配下にある従属国から抜け出す事をせず、持ちつ持たれつで戦後復興で巨万の富を得た層が国を支配している、という点だ。韓国で言えば10大財閥。日本で言えば先に発表があった一部上場企業の利益の6割以上を占める上位会社で財閥系だったり、政府とつるんでいる会社や、都内で一等地を作り上げている森ビルグループなどがそれにあたる。日本では直で従属している会社はそれなりにアベノミクスの効果で売上がUPしている。しかし、下層に行けば行くほど、トリクルダウンの液は少ない、というか無い。

 

アベノミクス。この政策を推し進めれば、日本は今の中国、韓国のようになる。戦中のように巨大な財閥のような会社が数社。それに従属する、ツリーのような階層の会社郡。従属している会社に入社するために、再び学力競争社会になり、少子高齢化と結果の出ない講義内容で権威の失墜しつつある、日本の大学はまた偏差値重視になり権力を取り戻す。その他はスラム街レベルの生活になりかねず、また、優秀な若者は国内に見切りをつけて海外へ。戦後の既得権益者がまた富と権力を増すだけで、国民が豊かになる事はないのだ。

日本は変わりつつあった

 日本で長く続いた不況と言われる時代は政府が静かだった時代でもあり、国民の中で自分達で何とかしないと、という雰囲気が一部で生まれた。将来、いくら貰えるかわからない年金に頼ったり、終身雇用制を信じない人達が現れたのだ。そして新しい働き方や生き方を模索し始め、それを受け入れる社会が作られつつあった。それらはこれから駆逐される可能性が高い。富裕層を優遇し、彼らからのおこぼれで生きる社会は、彼らの都合のよい社会でなければならないからだ。戦争はしないが、戦中と同じ。自由を権力者にコントロール社会に戻るのだ。中国、韓国と同じく。

 

それだけ今回(2014年冬)の選挙は重要な選挙なのだが・・・。多分自民党が圧勝する。日本のテレビは電波がオークション制度でない時点で既得権益であり、権力者、富裕層側だから、 テレビからの影響を最も受ける中下層有権者はもはや骨抜きだからだ。

 

有権者として、そんな社会になる事を止めれない無力さが悲しい。