底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

「アイドル」という過酷な職業

iDOL Street 2015 ストリートは進化する ~ご来場者全員とハイタッチ会~

というものが代々木公園で行われるというので愛車のママチャリで行ってみた。

「GEM」のミニライブから始まり、「SUPER☆GiRLS」の登場。曲、ダンスもここで無料ライブを行う他の小さな事務所のアイドルグループよりもやはり整っている。大手事務所のエイベックスが手がけるだけはある。そしてハイタッチ会。「Cheeky Parade」は別番組の収録中という事で、まずは先の2つのグループだけでのハイタッチである。

ずらっと並んだGEMとSUPER☆GiRLSの子達。次々とファンは流れてハイタッチをする。もちろん、私も並んだ。

列はすごい速さなので、一人ひとり認識するのはかなり難しい。しかし、女の子達は必ず目を見て、そして抜群の笑顔を作る。ずっと笑顔じゃないのだ。瞬時に最大の笑顔を作る事で「あなたの為の笑顔」を一瞬で感じさせるのだ。そして、ハイタッチも、一人の子はギュッ、と握って印象を残す事もしていた。

その後、竹下通り、表参道を1時間半ほど散策して、自転車の置いてある代々木公園に戻ったら、なんとまだハイタッチ会をやっていた!それも、遅れていたCheeky Paradeが到着した、とのアナウンス。ハイタッチは一人一回なので、見るだけ見に行ってみたら・・・。

彼女達はまだ抜群の笑顔でハイタッチをしていたのだ。会がスタートしてから既に2時間以上。寒空の下同じ場所で立ちっぱなしで。

 

正直言うと、私は彼女たち3グループ、どれもよく知らない。「SUPER☆GiRLS」は辛うじてチェックしていてぐらいだが、エイベックスの動きを見るだけで、メンバーまでは把握していなかった。AKBが作った、「会いにいけるアイドル」というカテゴリーから発展したアイドル文化。日本には1000を超えるアイドルグループが存在するらしい。その大半は10代だろう。

 

過去のアイドルは歌番組で歌ったり、たまにバラエティ番組、コンサートをやっていればよかった。対象ファンはマスであり、個では無かった。しかし、現在の多くのアイドルはマスもこなしつつ、個の対応を迫られる。これもAKBが作ってしまった文化だ。

個に対する対応は私からすれば「接客」だと思う。アイドル達は基本、全員神対応だ(中には塩の人もいるが)。中~下のキャバクラのレギュラーじゃない嬢の方が接客で言えば酷いのがいっぱいるぐらい。どんなファン(客)に対しても笑顔。確かにキャバ嬢は少なくとも10分ほどは横に座るわけだから、短時間しか接しないファンへの対応と一緒にするのはおかしいかもしれない(AKBの握手会ではチケット複数で時間延長する人もいるが)。それでも一人ひとりは数秒であっても、それが列になると数時間に及ぶ。しかも、子供からおっさんまでファンはバラバラ。中には認知厨というやっかいなファンもいて、自分が好きな子(推しメン)に覚えてもらうために面倒くさい事をやってくる。アイドルはそういった雑多な人達一人ひとり対応しないとならない。もちろん、私のような人間にも全員笑顔を振りまいてくれる。

キャバ嬢はがんばった分、給料が上がる。指名が増えればバックも増える。しかし、ほとんどのアイドルは自分のファン(推し)が増えた所で手取りが増えるわけではない。しかも、常にファンの監視に怯えないとならない為、10代という多感な時期に羽目を外す事も出来ない。ネットで誹謗中傷を受ける事もある。

 

なんと過酷な職業だ。楽に稼ぐならアルバイトの方が全然割りに合う。接客業=酒、風俗、という事で、年齢制限がある。しかし、アイドルは今や実質接客もやらされているにも関わらず、年齢制限がない。むしろ、どんどん低年齢化している。日本のロリコン文化のせいだ。

 

そういった事もすべて理解した上で、彼女達は笑顔を振りまく。いつか自分が報われると信じて。その夢は個々に色々あるのだろうが、あのがんばっている姿を見ると彼女達、そして日本全国で奮闘している年端もいかないアイドル達の幸せを願わざる負えない。

そして、使い捨てのように彼女達を利用する大人達が出来る限り少なくあれ、と切に思う。