底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

東京の弁当路上販売規制強化で見る、社会の仕組み

東京ではワインコイン路上弁当が人気だ。行商扱いをうまく利用して生まれた新ビジネスといってもいい。

というのも、都内には突然高層ビルが建つが、そのフロア数に見合ったランチの店は圧倒的に少ない。1000円以上の店は比較的並ばないで入れるが、800円以下で、ランチで美味しい店は行列必須。1時間しかない昼の時間。会社員にとっては無駄でしかない。

ここに500円前後のワインコイン弁当が溢れだした。内容も日替わりで飽きない。また、近年、オフィスのお洒落化が進み、ちょっとした休憩スペースがある会社が増えたのもワンコン弁当の販売に拍車をかけた。もちろん、店舗にとっては面白くない。

 

一応、路上販売規制についてはの大義名分は衛生管理徹底、という事になっている。しかし、ワインコイン弁当(行商弁当)での食中毒被害は今までゼロ件。行商用以外の弁当では407件あったとのこと。もちろん、通常の店舗でも食中毒被害はある。

つまり、行商用以外、店舗での食中毒被害はあるのに、そちらの規制強化は行われず、行商弁当だけ狙い撃ちで規制が強化される、という事なのだ。

今まで食品系このような事例があるだろうか。つまり、何も事件が起きていないのに規制が急に強化される、という事だ。近年では生レバー問題だろう。これは死亡事件が起きてからだ。食中毒は生レバーに関しては過去にもあったし、牡蠣による食中毒は日常茶飯事だろう。もっと古くなれば農薬の問題があるだろう。体に発がん性が認められた、という調査結果によって規制がされた。

東京での飲食店全体に対して、客に出す食品の基準を示す、というならまだわかる。何も事件が起きていない規制など、今まで私が知る限り無かったのだ。この件を「衛生管理が徹底されるという理由なら仕方がない」と書いているライターは体制側に媚を売っている人間か、もしくは真にアホな人だと思う。こんな理不尽な事は無いからだ。

猛暑といわれていた夏でも私はワンコイン弁当を食べていた。もちろん食中毒になどならない。これには理由がある。ワンコインは原価を削っているので、食材が安い。安いという事は原則、生物や生野菜が無く味も濃い目。質実剛健な火の入った茶色系弁当なのだ。だから食中毒になるような内容のものがそもそも無いのだ。むしろ、そんな中で店舗でのランチで付け合わせのサラダで腹が痛くなった事の方が多い。

東京で行われる、この理不尽、不公平な規制強化。規制内容は届け出や移動し続ける事が出来る、行商スタイルをベースにするレベルかと思ったら、容器にも遮光性、密封性などの項目が加わる事になりそう、との事。熱々の弁当の場合、密封はむしろ危険なのに。これは当初の規制案だけではワンコイン弁当の業者を減らす事が出来ないだろうと考えた側が、容器規制をかける事で原価アップを狙い、規制をかけても行商販売を止めようとしない業者が出てくる事も想定して、ワインコインで売るとそんなに儲けが出ないようにする為だ。これによって価格競争力を失わせて、近隣店舗を守ろう、という事に他ならない。

 

年間数件であろうが起きていた、店舗販売の弁当、店での食中毒。死者が出ないと基本規制が強化させる事はなく、店舗販売の弁当は何も規制が強化される事は無い。なのに、一度も事故が起きていない行商販売だけ狙い撃ちでの規制強化。この理不尽さには、自由経済が阻止され、守られる側が明確にわかる状況になっている。これが社会の仕組みなのだ。東京の一等地に店を構える事が出来る人達と行商販売の人達。行商販売を駆逐した所で、店の売上が大きく変わる事は無いだろう。しかし、それでも自分達のシマでちょこまか販売されるのは目障りであり、店舗も弁当販売で売上を伸ばしたくてもカニばってしまい、店にまで足を運ばせる店舗弁当よりも、ビルの側に来てくれる行商販売にはなかなか勝ちにくい。で、地を持っている人達の方が力が強く、議員も擁立しやすい。それだけだ。

そんな事で弱者が自由経済活動からシャットダウンされるの?ありえないでしょ。と思っている人もいるかもしれない。しかし、それが現実であり、ホントにびっくりするほど東京の権力者達は力を持っていて、くだらない規制やルールがその為に出来たりするのだ。公平な世の中など存在せず、それは為政者達が人民掌握の為に掲げているだけで、為政者の癇に障れば、そんなモノは公にも覆されるのだ。

社会の仕組みはそうやって理解していく必要がある。その上で、何をするか。ビジネスは難しい。