底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

他国への軍事介入に積極的な国にテロがある理由

日本でも集団的自衛権の行使によって、今後は他国へ軍事介入出来る事になるのだが、フランスの同時多発テロ事件でフランスがアメリカと組んで積極的にISへの攻撃を行っている事を知った人もいるかも知れない。だから報復される。なので、日本も将来・・・、的な発想で語る人が安保関連法案反対派には結構いた記憶がある。確かに、他国へ軍事介入する国はテロ被害にあっているような気がする。しかし、本質はそこではない。

アメリカを中心として進めた行き過ぎた資本主義。金で金を稼ぐ実体経済無きマネーゲームによって、巨万の富を得て政治を動かす層がいる。しかし、世の中の金の流通とは実体経済が伴わないと増える事はなく、流れるだけ。つまり、貧富の差が拡大する。

そして、軍事行為というのは莫大な金が動く。しかも原則国の税金だ。そしてこの行為は一部の企業、個人、政治家のみが利潤を得る。つまり、国民の税金を莫大な軍事に使う事が出来る政治下では、一部の企業、資産家達と庶民の貧富の差が拡大し続ける、という事なのだ。その莫大な軍事予算の1割でも貧民に充てるだけでも、多くの国民の子供の命が救える、というものだ。

そういった政治に対して抵抗する力が無いのがこういった政府の下、庇護の無い貧民層だ。そして中間層は彼らを見て見ぬふりをしている。この状態は今の日本に似ている。日本は貧困な子供が自国に沢山いるのに、大手企業が外国の子供支援を打ち出すようなパブリッシャーを平気で打てる国だ。そして、それで中間層の好感度が上がったりする。

そういった貧困層のフラストレーションはテロという形で爆発する。宗教的イデオロギーはきっかけでしかない。要するに自分達を追い込んでいる世間に仕返しがしたいのだ。

ココらへんが国際テロ組織とそのイデオロギーを借りた個々の国内個人テロとの違いだ。国際テロ組織は戦争の手段としてゲリラ的テロ行為がある。日本は銃の所持が禁止されているからここまでの被害がないだけで、刃物で大量殺傷事件を起こした若者~中年はまさにフランスでのテロと似ている部分がある。何が違うか、というとフランスのテロは社会を恨んでいる。貧困層でも社会を考える事が出来るからだ。日本ではなぜこういった集団での同時多発テロ事件が起きないか、というと貧困層、中間層、アッパークラスであっても社会に無関心だからだ。これは連合赤軍事件が最期、社会の事を考えて行動するような人間を作らない社会作りが成功した結果、というわけではない。参勤交代が始まった時ぐらいから、日本の為政者は反乱を恐れ、考え行動する、という余力を削ぐ政策をずっととってきたのだ。黒船という外から刺激があって初めて東京(江戸)から遥か離れた薩長が動けたのだ。なので、未だに日本人は基本社会の事を考えない人が多い。今流行のシールズも個人集団のブランド化実験のようなモノで、個人が幸せが優先。社会の事なんかじゃない。なので、同時多発テロ事件は日本人は起こす事が出来ないのだ。その政策とは隔離と保護。これによって団結力というものが生まれる事が無く、団結する場合は個人の利益のため、という事になるのだ。例えば、本来移民が最初にする仕事と言われるようなタクシー運転手。さすがに昨今はどの国の政治家も票欲しさに多少守る姿勢も見せているが、日本のようにずっとタクシー運転手なのに戸建て&家族子供含めて養う、というぐらいの儲けになるような事はない。タクシー運転手は顔を合わせる機会が多い為、悪い方に団結されると困るからだ。そして、その団結は為政者の為の政策のみ、に使わせてもらう。そうやって日本社会は成り立っている。

 

一度決まった線路から脱線した人間が再復帰出来ないように、セーフティネットが整備されないのも同じ。ある程度社会を知ると様々な理不尽なシステムがわかってくる層もいる。そういう人達が社会から離れて団結されると困る。なので、日本の組織システムにはまっている人達のみ、厚遇し、ドロップアウトした人達は隔離するような社会システムになっているのだ。働き盛りの中年の引きこもりがこれだけ多い先進国も珍しい。労働力経済的損失よりもこの人達が団結してテロを起こす損失の方が大きいのだ。

 

日本は今後、税金の多くを今まで以上に軍事費に投入する事になる。それはつまり、為政者達の票に関係の無い層に行くべき税金が減る、無くなる、という事を意味する。つまり、現在他国へ軍事介入する国と同じように貧富の差がはっきりするようになる。しかし、日本人は以上の理由でテロは起こせない。上手くスケープ・ゴートを為政者が用意し、ガス抜きもしている。部落のような非人道的な事を平気で出来る民族だ。そんな事はお手の物だ。日本では戦前、戦中から報道が為政者と癒着しているので、第二次大戦中と同じ扇動を今でも率先して行っている。彼らは戦争責任を負わされなかったので、そのままの体制なのだ。

 

なんて事をフランスの同時多発テロ事件で考えていた寒い夜。