底辺の見方、上からの見方

日本社会の底辺層のモノの見方、ちょっと上の層のモノの見方のお勉強

GDP上位30カ国の内、日本だけが最下位の経済成長率の件

そのデータを見ると、大概の人は「政治の責任」っていう。まあ、広義ではそうなのだがなぜそのよう事になっているのか。色々な要素があるのが、一番大きい事がある。それは

・社員をクビに出来ないこと

ぶっちゃけこれだけ。資本主義のトップリーダーであるアメリカはこのコロナ渦でも実は経済成長をしていて株価も最高潮だ。それは企業が従業員をクビにして利益を確保=株主保護を優先するからだ。社員達は日本よりも手厚いセーフティーネットがあるし、また社員になるのであればもっと安全な所に行こう、もしくは自分たちで起業しよう等考える。企業側もジョブ型で人を採用するので景気がよくなれば人を採用する。なので「何ができるか」というレジメが大事で日本のような履歴書などは無い。ここに人材と経済の流動性があり、コロナ渦でも全体経済は強いのだ。

 

では日本はどうだ。アメリカは極端だとしても、本来他国と同じように社員をそれなりに会社の都合でクビにできるようにしないとならないと資本主義としては成長が無い。しかしそれを多くの国民が許さなかった。そこで小泉内閣は考えた。社員をクビに出来ないのであれば、切る事ができる派遣業務を拡大して人件費の調整弁とし、来たる国際競争に勝てるようにしようと。しかし、ここで問題が発生する。資本主義では本来経営側(企業)と労働者、株主というシンプルな構図なはずの中に、正規社員、非正規社員という階層が生まれ、正規社員が既得権益化してしまったのだ。しかし、こんな事は想定の範囲内。本来であれば区切りのいいところで非正規雇用という階層をなくして社員と同等にし、社員をクビにできればいい話。しかし、これがうまくいかない。そりゃそうだ。今や労働者の4割以上が非正規の中、正社員達は既得権益を無くすわけがない。

 

そして政治家は考える

・非正規を強制的に社員登用する制度を実施→直前に契約を切られて成立せず

・待遇を同じにして差をなくせばいい(同一労働同一賃金)→ほんの少しの差を社員との違い、と雇用側が主張すれば終わり

そんな中、派遣業というかつては江戸時代からあった、ヤクザのやり口である人材手配業が莫大な利益を産む。そりゃそうだ。原価が無く、中抜きなんだから。そしてその莫大な純利益を使って政治家、官僚政策チームを抱え込み、中抜きという美味しい仕事を無くさせないようにする。

企業側も辛い。クビにしたい中高年が居座るからだ。その固定費は莫大だ。それを削る事ができるだけで利益は生む事ができる。

本当は労働者も辛い。無能な中高年のせいで有能な人間の流動性が止まっているからだ。まだ、人材の流動性が当たり前じゃないという事はジョブ制に移行出来ない。つまり、何ができるか、というレジメ、ポートフォリオよりも転職回数や年齢を見る履歴書が生き続けるという事。これは労働者が会社に縛られる事になり、本来資本主義構造でいう、対価としての労働という労働者ではなく会社の所属物として人間になってしまう。いや、そうありたい、会社に守ってもらいたい、という労働者が多すぎるのだ。資本主義に本来そんな図式は無い。守るのは会社と株主だからだ。

 

日本人(庶民)は資本主義と社会主義のいい所取りをしようとしているのだ。自らの義務は最小限にして。その責任を全部政治のせいにしている。政治家もそんな国民の無責任さを理解しているからか、無責任でその場しのぎの政策をするように近年はなっている。その結果が日本だけが経済成長をしない国になった。

 

デフレ脱却は経済成長ありきだ。しかし日本は経済成長無き物価上昇になっている。これは本来、世界経済についていく為に企業と株主重視政策を取らずに政治家が自らの票の為に老人&正社員保護政策を重視と同じ構造で、流動性無き社会で不要な社員をクビに出来なくて固定費が削れない企業を救うには単純に売上を上げる事=物価上昇&公費投入しか無くなってしまっているのだ。日本社会、企業もジリ貧だ。

 

それが世界と比べた時のGDP成長率に出ている。こんな最低の成長率なのに未だに社員をクビにできるようにしないなんて。昔、「痛みを伴う改革」と政治家が言っていたが、それによって格差貧困が生まれた。これは社員全員をクビにできれば格差貧困がそのままだが、勝つチャンスが今よりも格段に生まれる。会社と労働者が対等になる事で、であれば経営側になろうという人も増えるだろう。

そう、日本経済低迷の最大の原因は会社が社員をクビに出来ない事。そして政治家達が票と派遣業界からの金の為にそこにメスを入れられない事。これに尽きるのだ。

 

経営をした事がある人はとっくにわかっていると思うけどね。でも既得権益は政治家も庶民も離さないのよ。